サウナは、室内を温める際に熱源を使用します。
安全性の高いものを使用していても、使用方法を誤ったりすると取り返しのつかない事態に発展してしまうことも。
今回は、サウナで起こった火災・火事について安全対策も合わせて解説していきます。
開業したい方だけでなく個人で自宅用サウナやバレルサウナを検討されている方も是非ご覧ください。
サウナの火災・火事について
まずは、実際に過去に起こったサウナによる火災の事例を見ていきましょう。
火災事例①
平屋のサウナ室から火が出ていると、利用者から消防に通報がありました。
消防車11台で消火にあたったところ、火はおよそ3時間後に消し止められましたhttps://www3.nhk.or.jp/lnews/nagano/20230817/1010027849.html
引用元:信州 NEWS WEB
火災事例②
サウナルームとして使用していたプレハブ物置が燃える火事がありました。この火事によるけが人はいませんでした。
引用元:北海道ニュースUHB
火災事例③
火の勢いはおよそ1時間後に治まりましたが、サウナ室1室を全焼したほか、木製の渡り廊下などに燃え移りました。この火事によるけが人はいませんでした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/50d99f6833704a412f0ef13d8a5de1f4252f4679
引用元:Yahooニュース
ニュース記事によると、火災の原因は特定されていないものの使用されている熱源が薪であるものが多いように見られます。
サウナ火災・火事の原因は?
サウナで起こる火事には、様々な原因が考えられます。
サウナのストーブの熱で壁などの木材が燃えてしまう
サウナは室内を温めるために必ず熱源が必要となるので、その熱が壁などに引火してしまう場合があります。
発汗を促すため、室内の温度を上げたいと過剰にしてしまい熱源へ負担をかけてしまう場合など非常に危険です。
近年では、自然の中にサウナ施設が作られるケースが多くその場合は壁や天井、床にも木材が使用されることも多いため燃えやすい条件となってしまいがちです。
不燃材料が使用されていない
上記でも述べたように、サウナは自然の中で楽しむケースが増えており香りも癒し効果のある天然木の使用が増えている傾向にあります。
屋内施設ですと入り口は木材以外のものが使用されたりしますが、外観も重視する屋外施設はあまり不燃材料を使用しません。
ストーブの上に可燃物が放置される
熱源となるストーブの上に、タオルやサウナハット、木製のひしゃくなどをうっかりと置いてしまうとそこから発火してしまう場合があります。
特にタオルなど、汗で濡れているから燃えにくいと思われがちですが思いのほか早く乾いてしまったりしてそこから出火に繋がることも。
ストーブの上に可燃物を置いては非常に危険です。
サウナ室内に可燃物が放置される
ストーブの上だけでなく、サウナの室内に可燃物を放置してしまうのも危険です。
タオルを置き忘れてサウナを退室し、その後ストーブから移った熱により発火する・・・ということも考えられます。
サウナの室内に可燃物を持ち込んだ際は、必ず忘れないようにしましょう。
新聞や書籍ももちろん可燃物ですので、サウナで新聞を読む人は意識してくださいね。
認証されていない電気ストーブの使用
サウナ用の電気ストーブは、形もかなり特殊ですし水分にも強く安全性を考えられて作られていますが認証されていない電気ストーブですと、安全性が低くなってしまいます。
自作でサウナを作られる場合、こういった認証されていない電気ストーブを使用することで火災に発展することも考えられます。
煙突に蓄積される煤やタール
薪ストーブを使用しているサウナの場合は、一酸化炭素中毒防止のためにも煙突にて排気を行うことが大半ですがその際に煤やタールが煙突に付着し溜まってしまうことがあります。
メンテナンスを行わず使用していると、その煤やタールに引火する場合があります。
焼き肉店で煙突から出火した事故もありましたが、同じようなイメージですね。
サウナ火事を起こさないための安全策
サウナを安全に楽しむために、火災など起こらないように以下のような安全策を意識していただければと思います。
離確距離を徹底する
サウナストーブは、かなりの高温となります。
木材は長時間、高温にさらされると発火につながりますのでストーブと可燃物(木材でできたサウナ室の場合は壁や天井なども可燃物)はしっかりと隔離距離を取りましょう。
サウナストーブのメーカーの注意書きなどを参考に、定められた隔離距離が必要となります。
また、長時間サウナを利用したい人はストーブにあまり近づきすぎず、もし火が出たら逃げられる距離をを保つことを意識してください。
ストーブ周辺の木の炭化チェックを定期的に行う
木材は、通常ですと400度くらいの熱で発火しますが炭化している状態ですと100度程度で発火するとされています。
壁の一部が炭化していて、気が付かづに長時間サウナを利用すればそこから発火・・・というケースも考えられます。
木材が炭化していると、黒く少し焦げたような見た目となります。
日常的に、壁などが炭化していないかチェックしておきましょう。
温度センサーの位置をチェックする
これは電気ストーブを使用する場合なのですが、電気ストーブは温度センサーで温度を管理しているため、このセンサーの位置が決められた位置にないと温度をご認識してしまい余計な熱がかかってしまう可能性があります。
電気ストーブを利用する場合は、温度センサーを必ず規定の位置へと設置しましょう。
煙突の掃除を定期的に行う
上記でも述べたように、薪ストーブを使用していると煤やタールが煙突に付着します。
想像よりも溜まってしまっていることも多いので、定期的に掃除をするなどのメンテナンスを行いましょう。
サウナ小屋を改善できる場合は換気穴を設ける
換気孔を設けると、サウナの室温が温まりにくくなりますが少しの空気の対流があることで室温は下がっても、体感温度は上昇しやすくなります。
そうすると熱量を上げず、サウナを楽しむことができるためストーブにも負担がかかりにくいですね。
ただ、既存で設置されているサウナには換気穴を開けるのは難しい場合もありますので事前の確認が必要です。
サウナを開業する前に消防法を知っておく
近年の人気上昇を受け、サウナの開業を行う人も多いのですが開業前には必ず【消防法】について理解しておきましょう。
消防法は、建物が対象でサウナは対象外のイメージでいる人も多いかもしれませんが消防法の目的では
『火災を予防し、警戒しおよび鎮圧し、国民の生命、身体および財産を火災から保護するとともに、火災または地震等の災害に因る被害を軽減するほか、災害等による傷病者の搬送を適切に行い、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資すること』
となっています。
通常の建物だけでなく、サウナも十分対象であることがわかります。
サウナを利用する人の、安全を守ることが重要というわけですね。
必要なサウナの安全基準
必要とされる基本的な安全基準について見ていきましょう。
・サウナ放熱器は、壁、床等に堅固に固定する
・異常に温度上昇したときに自動的に電源を遮断することができる自動停止装置を設ける
・サウナ放熱器には容易に人が触れることができないような囲い、柵等を設ける
ガスや薪ストーブの場合は、
・放射管は耐熱性及び耐食性のある材料を使用
・燃焼排ガスがサウナ室内に漏れないこと
・燃焼排ガスは、排気筒により有効に屋外に排出する
・不燃材料による防護柵を設ける
これらは基本的なことなので、さらに安全性を高めるために正しいサウナ設置基準を確認してください。
※参考情報
日本サウナ・スパ協会 サウナ設備設置基準 ←こちらのリンクより確認できます
東京消防庁 予防事務審査基準 サウナ設備 ←こちらのリンクより確認できます
サウナは、人の心を癒しリフレッシュしてくれます。
明日や未来の活力として、自分を見つめ直す時間としてもとても向いています。
そんな癒しの時間が危険なものであってはならないので、安全性についてしっかりと確認しサウナを運営することがとても大切です。